現役小学校教師に直接聞いてみた。
ずばり「プログラミング教育ってどうなってるの?」
2020年から始まるプログラミング教育について周りに聞いてみると、さまざまな意見や疑問、不安の声が集まります。その中で多いのが「先生への不安」です。
先生たちのほとんどがプログラミングできないのでは?それでちゃんと教えることができるの?
このような心配をされてる親が本当に多いのです。
そのとおり、先生のほとんどがプログラミングなんてできません。
それどころか、「プログラミング?」「パソコンだって別に詳しくないぞ」なのが現状です。
そんな状態で果たしてプログラミング教育がちゃんとできるのか?
子どもにプログラミングを教えることができるのか?
授業で何をやるっていうのか?
そんな疑問に答えるために、現役で小学校の先生をやっている友人に直接聞いてきました。
3時間ほどみっちり話しましたが、全部を載せると恐ろしく長くなるので、一部を抜粋して紹介したいと思います。
※友人の名前は「北村(仮名)」と言います。
結論から言いますと、次のとおりです。
- エリアによって温度感や待遇が全く違う
- 小学校単位で関心の差も激しい
- それでもなんとかするのが小学校教師の凄いところ
【大前提】小学校によって、教育方針や授業内容が異なる
実際のところ、プログラミング教育ってどんな感じ?研修とかあるの?
いや、それがまだ何も情報がおりてきてないんだ。
え?だって2020年って、来年度だよ?それなりに何かわかってるでしょ?
本当に全く何もないんだ。もちろん『学習指導要領』には目を通してるから『プログラミング教育』が始まることくらいはみんな知ってるだろうけど。具体的には何も。
嘘でしょ(笑)それって北村の小学校がってこと?それとも他の小学校も?
少なくとも市内の小学校は同じだと思う。正直、他の市や他県のことは全くわからない。
いわゆる教育委員会が違うからってことなの?
そうだね。あくまで教育委員会が仕切ってるし、名古屋はちょっと特殊でもあると思う。
そうなんだ。ちなみにちょっと前に横浜の小学校がドコモのエンジニア呼んでプログラミング授業やったって記事見たけど、そういうのないの?
そんなことやってるんだ(笑)んー、おそらく名古屋市内の小学校ではやってないと思うけど。
いきなり驚かせてもらいました。どうも、これが現実のようです。
さて、プログラミング教育はともかく、そもそも小学校によって教育方針や授業内容が異なる、ということを聞きました。
これは親として知っておきたい、わかっておきたい事柄です。
こうして決まる!小学校での教育方針や授業内容
小学校では、それぞれを管轄する「教育委員会」から、管轄するエリアにおける学校教育の方針・情報などが渡されます。
そして、その与えられた情報を、校長・教頭・教務主任など、いわゆる上の人達が自分たちの学校に合うようにアレンジします。
そうしてできあがった、その小学校用の教育方針が初めて現場の先生に手渡される、という形になっているのです。
その結果、同じエリア(都道府県や市町村)であっても、別の小学校である時点で、教育方針が異なる、ということになります。
全教科を一人で担当する小学校では先生の一人ひとりの力量が大きく左右する
そして、そこにさらに先生単位での教育の違いも加味されるわけですから、もはや全く違う授業になることが安易に想像がつくことでしょう。
しかも、小学校の場合、全教科を一人で担当します。
どの教科に対しても平均的な知識はありますが、やはり得意教科と不得意教科はあって当然でしょう。
残念ではありますが、先生(担任)によって教育方針や授業内容が異なってしまうわけです。
これは私たちが子どもの頃も同じです。
あなたの小学校にも、「ダジャレが好きな先生」や「よく脱線する先生」、「趣味の話ばかりをする先生」など、色々な先生がいませんでしたか?
さて、会話はまだまだ続きます。
エリアによって温度感や待遇が全く違う
北村の小学校では、民間企業によるプログラミング授業とかって話全く出てこない?
出てこないよ(笑)そもそもそういう存在すら知らなかったからね。まぁそうだろうな、とは思ったけど。
そういうのもやっぱり上からの指示っていうか、学校の方針で決まるもの?
そうだね。現場の先生ではどうにもならない。ただ、うちの小学校では本当に話すら出ないから、名古屋市が力入れてないんだと思う。
けっこうエリアによって教育方針?違うんだね。
全然違うよ。研究科目の兼ね合いで他府県の先生と話す機会あるけど、もう全く違うと思っていいね。
じゃあプログラミング教育に関しても、情報量とか全然違うし、その違うっていうこと自体がわかんないって感じかぁ。
そのとおり。だから今大橋から色々聞いて逆に俺より詳しいなぁって感心してる(笑)
まさか総務省が主導で全国の小学校でプログラミング授業を行ってるとかも知らない?
初めて聞いた(笑)
と、いうわけで、どうもエリアによってプログラミング教育に対する温度感や待遇が全く異なっているということがわかりました。
会話の中でも出てきましたが、一部の小学校では「政府主導」もしくは「教育委員会主導」にて、プログラミング授業がすでに行われています。
こういった小学校では、先生も親も子どもも、プログラミングに対して前向きかつ温度感が高くなっているでしょう。
総務省「若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業」
まず、国としてプログラミング教育を推し進める施策の1つが、総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業」です。
全国の指定した小学校に対して、民間企業が独自のプログラミング教育を実施する、というものになります。
平成28年度から行われており、述べ100校以上の小中学校にてプログラミング授業が行われました。
こちらのサイトでも幾度となく紹介しているLITALICOワンダーやアーテックエジソンアカデミーなども実施企業として選ばれています。
北海道にある「江別市立野幌若葉小学校」は総務省「若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業」の指定校の1つです。
人気のプログラミング教室「LITALICOワンダー」主導のもと、ロボットを使ったプログラミング授業が行われました。
各地域の教育委員会主導のもと、民間企業によるプログラミング教育の実施
同じように、各地域の教育委員会主導のもとでも、民間企業によるプログラミング教育が実施されています。
東京や横浜はもちろんのこと、多くの都道府県で行われているので、あなたの子どもが通う学校では開催されていたかもしれません。
東京都の「プログラミング推進校」に指定されている「あきる野市西秋留小学校」では、ソニーから発売されている「MESH」というIoTブロックを活用したプログラミング授業を実施。
理科の単元「電気の利用」(小学6年生)をプログラミングを使って理解を深めることに挑戦した。
あくまで「2020年からのプログラミング教育のため」ではあるけれど…
これらの取り組みはあくまで「2020年からのプログラミング教育のため」のものです。
どんな授業が効果的か、子どもが喜んで取り組むのか、といったことを試しているのに過ぎません。
ここで得たノウハウや失敗を全国の小学校で共有し、教育水準を高めることが本来の目的になります。
とはいえ、このように1度でもプログラミング授業が行われたことがある小学校では、先生も親も子どもも自ずと意識が高まっているのは安易に想像がつきます。
つまり、この時点ですでに教育格差ができてしまっているとも言えるでしょう。
小学校単位で関心の差も激しい
なんだか拍子抜けだね。もっと盛り上がってるっていうか、焦ってると思ってたよ。
逆に勉強になったよ(笑)
あ、でも児童の中にはプログラミング教室とか通ってる子いるでしょ?そういう会話はしないの?
ん~、うちの学校にはいないと思う(笑)
え?え?1人も?今何年生うけもってるんだっけ?
今5年生だけど、たぶん1人もいないと思う。うちのクラスにはいないし、他のクラスでも聞いたことないなぁ。
いやいやいや。今1番人気の習い事だよ?2019年1番通わせたい習い事1位だよ?
人気なのは知ってる。でも、うちは本当にいない。そもそも習い事自体、ほとんどいないんじゃないかな。
習い事がいない?5年生なんだから塾とか通ってる子いるでしょ?
いや、ほとんどいない。せいぜい習字とか水泳とか公文とかかなぁ。塾はほとんどいないよ。
え?なんで?俺も5年生から塾行ってたし、北村も行ってたよね?今どきの子って塾とか習い事とか行かないの?そんなわけないでしょ。
それはうちの小学校がね。まぁ割と裕福じゃない子が多いっていうか…。習い事どころじゃないっていうか…。
え、でも、そんなクラス全員がっていうわけではなくない?
んー、、、。うちの小学校のエリアって、そういうエリアなんだよ。でも、みんなすごくいい子なんだよ。すれてないっていうか。
そんなことあるんだぁ。それはびっくり。他の小学校ではどうなってるとか知らない?
あぁ例えば◯◯区にある小学校とかだと、ほとんどの子が塾通ってるみたいね。それこそプログラミング教室とかもって聞いたわ。
エリアでそんなに変わるもんなんだ。たしかに普段他のエリアの話なんて聞く機会ないもんなぁ。
だね。案外違うのよ。あんまり言っちゃダメだけど、前に勤務してた学校の子らはヤンチャっていうか、「それはやっちゃダメだろ!」ってことをやる子が多かった。
へー、意外。なんか育ちがいい子が多そうな地域なのに。
んー、逆にストレスたまっちゃうのかもね。今の学校の子ら本当にいい子しかいない。学区出ただけで泣きながら謝ってくるから。まじかわいい(笑)
それは微笑ましいな(笑)
友人に聞いて1番驚愕したのがコレかもしれません。
私が思っている以上に、小学校単位での関心の差が非常に激しいのです。
誰もプログラミング教室に通っていない、話題にすら出ない
彼は現在小学5年生を受け持っています。子どもの数は80人程です。
ですが、誰一人プログラミング教室に通っていないとのことでした。
「嘘でしょ!?」と大きな声を出してしまったのは言うまでもありません。
そもそも保護者の方や教員同士の話題にすら上がらないそうです。
「『プログラミング』という言葉を1番聞くのは、大橋(私)と会話しているときだよ」と冗談半分で答えていました。
別の小学校では、1割ほどが通っている
ですが、彼の教員仲間から聞いた話によると、その教員が勤務する小学校では「クラスの1割程(3~4人)」がプログラミング教室に通っているそうです。
また、通っていなくても多くの子どもが自宅で親と遊びがてらプログラミングにふれているとのことでした。
これは何が違うのか。ずばり、家庭環境。
彼(友人)が勤めている小学校は、どちらかというと富裕層が少ないエリア。そのため、そもそも習い事ですら通っていない子が大半です。
逆に、教員仲間の小学校は、私立中学を受験する子がクラスの半分以上を占めるような、いわゆる「お金持ち」が多いようです。
同じ市内の小学校であっても、これほどまでに格差ができているとは思いもしませんでした。
プログラミング教育の「プ」の字も出てこない
そんなわけで、彼の小学校では、プログラミング教育の「プ」の字も出てきていないそうです。
あくまで「学習指導要領」の中で見ただけであり、具体的にどういった授業をするのか、何を目的にしているのか、といった内容は全く決まっていない、わからないと断言していました。
「ギリギリにならないと確かな情報はおりてこないと思う」
それが教員歴10年以上の彼の答えでした。
そんな状況で先生たちはちゃんと授業ができるんですか?
たしかに不安ですよね。私も不安でした。ですが、それでもなんとかするのが小学校の先生だ、と彼は自信をもって答えてくれたのです。
それでもなんとかするのが小学校教師の凄いところ
ぶっちゃけ、そんな状況で大丈夫なもんなの?プログラミング教育。
んー、どうだろね。でもまぁやるしかないっていうか。
でも、それこそ北村だってパソコンとか得意ではないでしょ?他の先生も得意な人って少ないんじゃない?
みんな全然できないね。
どうすんのさ(笑)けっこうシャレにならない気がするんだけど…。
ま、なんとかなるさ。そんなもんよ。これまでだってそうしてきたわけだし。
これまで?あ、英語とかって話?
英語ももちろんそうだね。あれだって3月だからね。情報おりてきたの。
え?3月って、去年の?直前ってこと?
そう。もうみんな大慌て。でも、なんだかんだでちゃんとやってると思う。
すごいな…それ。ポテンシャル高すぎでしょ。あ、でもそうか。いうても全教科教えてるわけだから、みんなある程度はっていうことか。
そうだね。英語もだけど、その前はダンスだよ?そういう無茶振りをなんだかんだみんなこなしてきてるのよ。
ダンス!そういえばそれもあったね。英語やプログラミングも大変だけど、俺だったらダンス絶対無理だわ(笑)
でしょ?そういうのも本当にぎりぎりなのよ。でも、4月になっていざ始まるとさ、みんなやっちゃうんだから。
小学校の先生、なめてました(笑)凄いなぁ、本当に。
色々心配しましたが、なぜか妙に納得というか安心してしまいました。
「それでもなんとかするのが小学校の先生なんだよね」という彼の一言に。
英語必修化も、みんな難なくこなしている
会話の中でも出てきましたが、2018年から必修化された英語の授業。実はこれもギリギリのギリギリ(2018年3月)に情報がおりてきたそうです。
「4月からこんな感じでよろしく」みたいな。
元々5、6年生で「外国語活動」として取り組んでいたとはいえ、本当に直前だったそうです。
周りの先生方も口をそろえて「こんなの急に言われても無理だ!」と言っていたのですが、実際には淡々とこなしています。特に問題もないそうです。
全教科をバランスよくこなせるのが小学校教員の強み
小学校の先生の強みは、そのバランス力だと彼は教えてくれました。
たしかに、よくよく考えれば「全ての教科において水準を超えている」のが小学校の先生の条件です。
しかも、毎日のように多感な小学生を相手にしているわけですから、柔軟な対応力を備えていても不思議ではありません。
どうも学校の先生と言うと「下に見られがち」ですが、とんでもございません。
むしろ、なんでもこなすオールマイティーな人たちと言えるでしょう。
不安はあるけど、やるからにはちゃんとやる
「普段は不真面目そうな先生も、いざってときにはやっちゃうんだよ。だから凄い」
「不安はもちろんある。プログラミングなんてさっぱりわからないからね。でも、それをやるのが俺たちの仕事。やるからにはちゃんとやるよ」
「そもそももっと大変なことが日常的に起きている。プログラミング教育もその1つでしかない。そんなんばっかりだよ、学校なんて」
「でもそれは会社でも一緒でしょ?やったことないからできませんなんて、そんなの通用しないでしょ」
彼はとても向上心の強い人です。正義感も強いです。だから、そうでない先生とは反りが合わないとも正直に言ってくれました。
でも、そういった先生でも「最終的にはしっかりやってしまう」と。
「さすがだな。すごいな。悔しいな」と思うそうです。
先生の心配する前に、親としてやるべきことを
今回、彼と話していて思ったこと。それは「頭の上の蠅を追え」。この言葉に尽きます。
そもそも自分の子どものことなんです。どうして学校の先生に頼る必要があるでしょうか。
あなたは、自分の子どもが将来仕事に困ったら、小学校の先生に責任をとってもらいますか?
やはり、子どもの教育に関する全ての責任は私たち親にあるのです。
そんな当たり前のことを改めて気づかしてくれたことが、今回1番の成果だったかもしれません。
だからこそ、周りの目に流されることなく、子どものこれからをちゃんと考えた教育を与えてあげたいと思いました。
早い子は始めてますからね、英語もプログラミングも何もかも。
まずは、各家庭でできることか始めてみませんか?がんばりましょう。
【関連】2020年から始まるプログラミング教育。各家庭でできることとは?
わが子はロボット教室でプログラミングを楽しく学んでいます
私の子どもはヒューマンアカデミーのロボット教室でプログラミングを学んでいます。ロボットを作りながらプログラミングが学べるので、楽しく続けることができています。
子どもの将来を考えたときに、真っ先に思い浮かんだのがプログラミングの習得でした。
ただ、いきなり学習塾のような形で勉強してしまうと嫌いになるのでは?と思い調べていて見つけたのがロボット教室です。
ロボットを作りながらプログラミングや論理的思考力が身につくと聞いて、少し半信半疑ではありましたが、ひとまず体験教室に連れていってみました。
これが大正解。子どもが楽しそうにロボットを作っているのを見て、「これは面白い」と直感でわかりました。
子どもの将来を真剣に考えている方に、ぜひおすすめできます。
全国で展開してるヒューマンアカデミーのロボット教室なら無料で体験可能です。お試し気分で子どもの反応を確かめてみてはいかがでしょうか。
体験したからといって入会する必要はありません。そもそもしつこい勧誘はほとんどないので安心して楽しめますよ。
後になって「あの時体験教室だけでも連れて行っておけば…」となるのだけはもったいないですからね。
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